改装をしたとき蔵から出てきたという国税収入の台帳。記されている年号を見ると明治20年代。創業者である先々代は加守村などの徴税役を務めていたらしい。
「つまり、そのくらいから営業してるってことですわ」
と店主の田中さん。
当初は輸入のギヤマン（ガラス）の細工品や置物、その後ランプを販売するようになり、終戦ごろに額縁と絵画に移行。そして客の勧めで35年前から骨董品も置くようになる。特に骨董品は、店頭に並べた途端、売り切れるほどだったとか。
時代を先取りし、いわゆる「ハイカラ」な商品を扱ってきた同店。最近は住宅事情もあり、高価な品の売れ行きは悪いというが、受け継がれてきた目利きの能力は確か。
界隈の歴史を眺めながら、本物だけで商いを続けてきた自信が窺える。